給与について

給与は労働契約に基づいて支払われる労働の対価ですが、そのまま全額を支給すればよいというものではありません。所得税、住民税といった税金、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料については企業が給与から源泉徴収(天引き)して納付することが法律で定められています。

賃金払いの五原則

通貨払いの原則

賃金は現金で支払わなければならず、小切手や現物で支払うことは労働協約で定めない限り違法です。また、銀行の口座振込も「労働者の同意を得て、労働者の指定する金融機関に対して」支払わなければならないとされています。

直接払いの原則

賃金は直接本人に支払わなければならず、債権者などの代理人に支払うことは違法です。ただし、妻や子等本人の支配下にある使者が本人名義で受領する場合には、支払っても構わないとされています。

全額払いの原則

賃金は全額を支払わなければなりません。ただし、税金や社会保険料など法令で定められているもの、もしくは労使協定により定めたものに限っては、賃金より控除することができます。

毎月払いの原則

賃金は毎月1回以上支払わなければなりません。年俸で支払う労働契約を結んでいたとしても、先払いでない限り、毎月に分割して支払わなければなりません。

一定期日払いの原則

賃金は毎月一回以上の一定の期日に支払わなければなりません。月給であれば、25日払いとか末日払いといった期日でなければならず、「毎月第2金曜日」では一定期日ではなく認められません。

その他の禁止や原則

男女同一賃金の原則

労働者が女性であることのみを理由として、賃金に差別を設けることは違法です。仕事内容や資格、勤務形態、責任などの違いによる、合理的な違いであれば適法です。

完全出来高払いの禁止

労働者に対して、出来高払制などの請負給による賃金の定め方をすること自体は問題ありませんが、完全出来高払いとして保障給(固定給)を設けないことは、違法とされています。保障給の割合は、賃金総額の概ね6割以上を占める必要があるとされています。

賃金減額の限度

制裁措置として減給を課す場合には、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えることはできません。また、減給の総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えることはできません。

最低賃金

 一定の金額よりも低い賃金で労働者を雇うことが禁止されています。
 最低賃金の金額は、都道府県ごとに定められています。