賞与から雇用保険は引かれる?雇用保険料の計算方法や賞与に発生する保険料について解説

従業員の成績などに応じて支給する賞与にも雇用保険料、社会保険料が控除されます。給与では、雇用保険料、社会保険料が控除されているのを解っている方も多いかと思いますが、賞与はどのように計算されているのか理解してない人も多いかと思います。

賞与の保険料を計算する際は、保険の種類によって異なる保険料率を使う ため、正しい方法を知っておくことが大切です。

そこで今回は、賞与から雇用保険料が控除される理由や、控除の計算方法などを紹介します。

■賞与からは基本的に雇用保険料が引かれる

基本的に賞与から雇用保険料は控除されますが、賞与の内容によっては雇用保険が控除されない場合もあります。

賞与から雇用保険料が引かれる理由

「労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」に対して雇用保険料率を乗じて、納付すべき保険料が算定されます。

賞与も「労働の対償として事業主が労働者に対して支給されたもの」に該当するため控除の対象となります。

賞与から雇用保険料が引かれない場合

労働の対価でない場合、任意的・恩恵的な大入り手当や臨時的に支給されるような性格のものは、名称にかかわらず雇用保険料が控除されません。

雇用保険料の計算方法

雇用保険料について

雇用保険料率は毎年見直され、年度初めの4月1日から施工されることが多いです。年度途中で保険料率が変わる場合もあるので注意が必要です。

雇用保険料の計算方法

雇用保険料の計算では、標準賞与額ではなく賞与額を使い、事業主負担と労働者負担の割合が異なります。計算式にすると、以下のとおりです。(一般の事業の場合)

雇用保険料=賞与額×雇用保険料率

① 労働者負担②事業主負担① + ② 雇用保険料率
2023年4月1日 ~
2024年3月31日
0.6%0.95%1.55%

※参考:厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」

一般事業者で50万円の賞与を与える場合、2023年4月1日~2024年3月31日分の雇用保険料率(事業主負担)でシミュレーションすると、以下の結果となります。

【計算例】

50万円 × 0.95% = 4,750円(事業主負担)

■退職後や死亡後の賞与でも雇用保険料は必要?

退職後や死亡後の賞与であっても賞与から雇用保険料は控除されます。

◇退職後に支払われた賞与

退職後に支給される賞与は「退職前の労働に対する対価」として考えられるため、退職の時期にかかわらず雇用保険料は控除されます。

◇死亡退職後の賞与

死亡による退職の場合も通常の退職と同じように雇用保険料は控除されます。

死亡した社員の口座は凍結されるため、相続人の銀行口座に振込む、あるいは現金で手渡す方法がとられます。

また、相続税の課税価格計算の基礎に算入されますので所得税は課税しないものとなります。

■賞与から控除される他の保険料や税金も把握しておこう

賞与からは雇用保険料以外にも、所得税と社会保険料が控除されるのでその保険料を紹介します。

健康保険料

健康保険料を計算する際は、標準賞与額(※1)に保険料率をかけ合わせたうえで、事業主と従業員が労使折半(半分ずつ負担) するため、2で割ります。

※1:賞与額の1,000円未満の端数を切った金額のこと

つまり、計算式にすると、以下のようになります。

健康保険料(円)=標準賞与額×健康保険料率÷2

なお、事業主が加入している健康保険組合によって、保険料率には違いがあります。例えば、中小企業が多く加入する協会けんぽ (全国健康保険協会)の場合は、都道府県ごとに保険料率が異なる ことが特徴です。

介護保険料

介護保険は、40歳以上65歳未満の方が被保険者(第2号被保険者)になり、介護保険料は40歳になる月から支払わなければなりません 。

以下の計算式のとおり、標準賞与額に保険料率をかけ合わせ、労使折半するため2で割って算出します。

介護保険料=標準賞与額×介護保険料率÷2

なお、協会けんぽの介護保険料は、2023年3月分(5月1日納付期限分)以降、1.82% です。

厚生年金保険料

厚生年金保険料を計算する際は、標準賞与額に保険料率をかけ合わせ、前述した健康保険料と同じく労使折半するため、2で割ります。計算式にすると、以下のとおりです。

厚生年金保険料=標準賞与額×厚生年金保険料率÷2

なお、保険料率は年金制度改正に基づいて、2004年より徐々に引き上げられていましたが、2017年9月以降は18.300%に固定 (※2)されています。

※2:厚生年金基金加入者を除く、一般・坑内員・船員の被保険者に適用

労災保険料

労災保険の保険料は会社が全額負担します。

労災保険料(円)=賞与額×労災保険料率

事業の種類で労災保険料率が異なるため、厚生労働省の労災保険料率表の確認が必要となります。

源泉所得税

「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率を求めます。賞与の金額(社会保険料等控除後)に求めた税率を乗じて源泉所得税を計算します。

◇子ども・子育て拠出金

労災保険と同じく会社が全額負担します。

子ども・子育て拠出金(円)=標準賞与額×拠出率(20203年度0.36%)

まとめ

毎月支払われる給与でだけでなく、賞与からも雇用保険料は控除されます。他にも健康保険料や厚生年金保険料などが控除されますので、計算する際はそれぞれの種類に応じた計算式や保険料率を用いらなければなりません。また、雇用保険料が控除されないケースもありますので注意が必要になります。

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