ADR(裁判外紛争解決手続)とは

個別労働関係紛争解決をサポートする

法的な紛争の解決というと、裁判所で決着をつけることを思い浮かべられるかもしれません。しかしながら、裁判には手続的にややこしい面があり、ある程度の時間と費用がかかることは避けられません。そこで、裁判と並ぶ魅力的な選択肢として、より簡易・迅速に比較的低廉な費用で紛争を解決することを目的とする「裁判外の紛争解決手続」が、弁護士をはじめとする実務家の間で工夫されてきました。これをADR(Alternative Dispute Resolution)と呼んでいます。

ADR法の特徴

1 基本理念等

ADR法は、紛争当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、国民の権利利益の適切な実現に資することを目的としています。

2 認証制度

ADR法は、ADR機関がADR手続を行うのに必要な知識・能力等を有している場合には、法務大臣の認証を受けることができる制度を採用しました。
特定社会保険労務士によるADR手続については、認証を受けなくとも手続の公正適正が確保されることなどから、認証を受けていないところも多くあります。

3 時効の中断効

従来、ADR手続の利用をためらわせた理由の一つとして、ADR手続の利用には時効の中断効がなく、ADR手続の利用中に時効が完成してしまうおそれがあり、安心してADR手続を利用できないということが言われていました。
ADR法は、認証を受けたADR機関を利用した場合に時効中断効を認め、ADR手続の利用促進を図っています。

4 調停の前置に関する特則

民事調停法や家事調停法では、一定の事件について訴えを提起する前に調停の申立を義務づけています(調停の前置)。
これに対し、ADR法は、認証を受けたADR機関を利用した場合には、あらためて調停の手続を踏むまでもなく、直ちに訴えを提起することができるものとして、ADRの利用促進を図っています。

5 訴訟手続の中止

訴訟手続を中止することにより、訴訟手続と認証を受けたADR機関の手続との調整を図ることも可能となりました。

6 専門的知見の活用

ADR法は、第三者による専門的な知見の活用をその基本理念としています。
特定社会保険労務士によるADR手続では、建築紛争における建築士や医療紛争における医師などの専門家による協力態勢を整えることにより、専門的な紛争の迅速適正な解決を図ることに努めています。
特に、医療紛争において、日弁連においても医療ADR特別部会を設け、医療紛争事案における専門的知見の活用に向けて取り組んでいます。