介護保険制度の見直しを検討 介護保険部会

 厚生労働省は5月15日、社会保障審議会の介護保険部会を開き、介護保険制度で比較的介護の必要度が低い「要支援1」「要支援2」と認定された人を介護保険の対象から切り離すことを含め、制度を見直す検討を始めました。介護保険の財政を安定させるため、40歳から64歳の現役世代が支払う介護保険料を健康保険組合加入者の「人数による負担」から、「収入に応じた負担」に変更することなども示されました。

 要支援1、2は、重度化を防ぐ介護予防の観点から2006年度に新区分として導入されました。昨年末の全認定者約554万人のうち、要支援1、2の人は計約150万人。実際には、配食や掃除、買い物といったサービス利用が多く、自立支援につながらないとの批判があります。急増する介護費用を抑えるため、介護保険の給付対象から外して市町村の事業に移すべきだとの議論が出ています。

介護費用は約7.8兆円(10年度)で、うち要支援向けは約0.4兆円と5%程度ですが、25年の全体の介護費は21兆円まで増大する見通しです。また、現在65歳以上の人が支払っている保険料は月4972円(全国平均)ですが、これも8200円程度にアップする見通しとなっています。

 制度の改正については賛成、反対両方の意見が出ていますが厚労省は議論を重ね、年内に改革の方向性をまとめる方針です。