ドイツ飛行機事故に見る、従業員がうつを隠していた場合の会社の責任について

2015年3月24日にフランスの山中に墜落したドイツの飛行機事故は、副操縦士の故意によるものといわれています。報道によると、直前に精神科を受診し、勤務禁止の診断書をもらっていたにもかかわらず、自室で破り捨てていたとも報道されています。

 当時報道では「うつ病」とも言われていましたが、専門家的にはその診断には疑問が残ります。うつ病か他の病気かであるかどうかは別として、従業員が会社に知られると不利になると考え、病気を隠すということはあり得る事態です。
 従業員が病気を隠していた場合、会社は従業員の病気を知らされていなかったと言って、責任から逃れることができるでしょうか?
 実は最高裁の判例により、会社は従業員が会社に伝えていなかったとしても従業員の体調不良を察知し、適切に対処することが求められているのです。

 つまり、会社は従業員の不調に気づかなければならないのです。さらに言うと気づいた上で対処しなければならないのです(結果予知と結果回避義務です)。
 そのためには、管理職が日々のコミュニケーションから気づくこと、あるいは同僚が日々のコミュニケーションから気づき上司につなげることが大切になります。