厚生労働省は2025年10月6日、健康保険の被扶養者認定における「年間収入」の判断基準を変更する通知を公表しました。
従来は、被扶養者としての届出に係る者(以下「認定対象者」という。)の年間収入については、認定対象者の過去の収入、現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入の見込みにより判定していました。
令和8年4月からは、労働契約の内容によって被扶養者の認定を行う場合は、労働基準法第 15 条の規定に基づき交付される「労働条件通知書」等の労働契約の内容が
分かる書類の添付及び当該認定対象者に「給与収入のみである」旨の申立てを求めることにより確認することになります。
なお、労働契約の更新が行われた場合や労働条件に変更があった場合(以下「条件変
更」という。)には、当該内容に基づき被扶養者に係る確認を実施することとし、条件変更の都度、当該内容が分かる書面等の提出を求めること。
この取扱いにより、労働契約の内容に基づいて認定を行う場合は、労働条件通知書など契約内容が確認できる書類の添付が必要となります。契約内容を示す書類が提出できない場合は、従来どおり勤務先発行の収入証明書や課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することが予想されます。
企業の人事担当者においては、扶養認定申請の受付時に、契約書面や賃金の定めを正確に確認する実務がより重要になります。認定の可否が実際の残業時間等ではなく、契約上の所定賃金を基礎に判断されることになるため、雇用契約時点での条件の明確化と、関連書類の整備・保管体制の見直しがより求められます。