就業規則は労務管理のきも

◆執筆者

外間 守和
特定社会保険労務士・代表社員

労務管理とは

生産管理や財務管理など「管理」とつく用語は多いのですが、労務管理はヒトを対象としていますので管理の意味合いがそれらと異なります。近年は働き方改革などで使用者・従業員双方にとって変革の時代となっていますが、時代は変わっても「経営の目的・課題の実現のために、組織人としての従業員をその内発的関心に留意しながら管理・運営する経営機能」である労務管理の本質は変わりません。内発的関心に留意というのがポイントですね。

労務管理の対象

労務管理の対象内容として「募集・採用・適正人員」「就業」「人事」「賃金」「教育訓練」「福利厚生」などが挙げられます。これらの中で特に重要なものは就業管理で労務管理のきもとなるものです。就業管理の手段として就業規則があります。まずは就業規則を整備していきましょう。

就業規則は会社の味方

巷では労働基準法は労働者保護法とも呼ばれており、経営者(会社)にはあまりよく思われていない?のですが、ほぼそのとおりかも知れません。例えば、小さな会社では年休一つとっても法律どおり社員に与えるのは大変苦労するところです。では、会社を守りイザというときの味方になってくれるものはなにか?それは会社が社員に「守って欲しいこと」や「やって欲しいこと」を文章化した「職場のルール(就業規則)」しかありません。会社にとってそれだけ重要な規則ですが、それも労働基準法などの関連法規をベースに作らなければなりません。ここでは、会社を守る就業規則作りのポイントを労働関連法規とからめてお伝えします。

就業規則の効果は?

労働者にとつては以下の点から会社への信頼感が増すことになります。

  1. 職場の労働条件が明確になり安心できる。
  2. 職場の守るべきルールが明確になり働きやすくなる。
  3. 恣意的な懲戒処分等が行われず身分の保障が強化される。

使用者にとっては以下の点から企業運営がスムーズにいきます。

  1. 多数の労働者の労働条件を統一的に処理できる。
  2. 労働者を組織化し、職場秩序を確立できる。
  3. 労働関係の争いを防止できる。

就業規則に必ず記載しないといけないことは?

「絶対的必要記載事項」といい、労働契約書や労働条件通知書にも必ず書かないといけないことになっています。その内容は次のとおりです。

  1. 始業・終業の時刻、休憩時間、休暇、交替勤務の転換に関すること。
  2. 賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の締切り、支払いの時期、昇給に関すること。
  3. 退職・解雇に関すること。(解雇の事由を含む)

つまり、社員にとって最も大事なことが明記されています。

就業規則に記載しなくてもいいし、記載してもいいことは?

「相対的必要記載事項」または「任意的記載事項」といいい、会社内の決まりごとがあれば記載してもいいことになっています。例えば・・・

  • 退職金のことや安全衛生に関すること、災害補償など。
  • 表彰や制裁に関することなど。
  • その他etc・・・。

つまり、会社にとって服務規律など守って欲しいことが明記できます。会社が力を入れて取り組む価値は大い にあります。